TRAVEL NOTES / NO. 004
2026年8月22日土曜日
韓国旅行 · 5分で読める104
深夜0時、道端で手を挙げる前にすべきこと
深夜0時を過ぎたソウルで空車が見つからないのは偶然ではない、その時間帯にシステムがどう動くかを知れば答えが見える
文 Find to Send編集部

日付が変わる数分前、江南のある通りに立っていたことがある。夕食や飲み会を終えた人々が次々と道路の方を向き、手を挙げた。空車のタクシーは時々通り過ぎたが、止まらなかった。窓越しに見える運転手の表情は無関心で、行き先を尋ねる前からすでに答えを決めているようだった。十分、二十分が過ぎても状況は変わらなかった。タクシーは確かに走っているのに、なぜこの時間帯だけ捕まらないのだろうか。
不思議なのは、同じ通り、同じ場所でも一時間ほど経つと風景がまるで変わることだ。午前一時半頃になると、むしろタクシーが列をなして待っている光景を見ることもある。その間に何が起きているのか、知っておく価値がある。
その真夜中の通りに戻ると、同じ悩みを抱える人がどんどん増えていく。誰かはスマートフォンの画面をつけたり消したりしながら、配車アプリを苛立たしげに更新している。誰かは相変わらず手を挙げたまま、通り過ぎる車一台一台に視線を送る。コンビニの前で談笑していたグループも、日付が変わる頃には静かに道路端へと移動していく。それぞれが自分なりのやり方で、同じ問題を解こうとしているのだ。
運転手側から見ると、この時間帯はまったく違う風景になる。ノルマや交代時間に合わせて車庫へ戻ろうとする運転手たちのタイミングと、深夜に帰宅しようとする客が一斉に道路へ出てくるタイミングが、ちょうど重なってしまうのだ。道路にはタクシーが走っているものの、その多くはすでに客を乗せているか、営業を終えて戻る途中の車である。
本当の問題は、単にタクシーが不足していること自体ではない。何より難しいのは、今目の前を通り過ぎる空車らしきタクシーが自分を乗せてくれる確率がどれくらいなのか、まったく分からないという点だ。手を挙げても止まらない車が続くと心理的に焦りが募り、その焦りのせいでかえって非効率な場所で待ち続けてしまうことも多い。行き先が人気のない方向であればあるほど、あるいは中途半端に遠い距離であればあるほど、この不確実性はさらに大きくなる。
そこに深夜割増という要素まで加わると、判断はさらに複雑になる。料金が上がることは知っていても、その割増がちょうどいつから適用されるのか、道端で拾うのとアプリで呼ぶのとで金額が変わるのか、混乱する人は少なくない。結果として、待つこと自体への不安と料金への不安が同時に積み重なる時間帯になってしまう。
この現象を理解するには、日付前後のタクシー運行の実際の仕組みを知る必要がある。ソウルの法人タクシーの多くは二交代制で運営されており、交代のタイミングが日付をまたぐ前後に集中していることが多い。つまりこの時間帯には、日勤を終えた運転手が車庫へ戻ろうとし、同時に夜勤の運転手はまだ配車態勢が整っていないという空白が生まれる。道路上を実際に走っているタクシーの台数自体が、実質的に減る時間帯なのだ。
一方で需要はその逆に動く。夕食の約束、飲み会、公演やイベントの終演はおおむね夜十一時から日付が変わる頃に集中しており、帰宅しようとする人々が一斉に道路へ出てくる。供給が減り需要が増える時間帯が、まさに重なってしまうのである。この構造を知れば、日付前後の困難さが個人の運の悪さではなく、都市全体の運行スケジュールが生み出す構造的な現象であることが理解できる。
配車アプリが道端で手を挙げるより安定している理由も、この構造の中にある。アプリで呼ぶと、行き先が配車の時点ですでにシステムに入力されているため、運転手は乗車前にどの方向へ向かうかを知った上で配車を承諾する。一方、道端で手を挙げて止める場合、運転手は行き先が分からないまま、まず停車するかどうかを決めなければならない。日付前後のように車庫復帰や交代を控えた運転手が多い時間帯には、行き先が不確実な客より、方向が合う客を優先する傾向が自然と生まれる。アプリ配車は、この不確実性をそもそも取り除く仕組みなのだ。
では、この時間帯に実際にどうすればよいのか。
- 日付をまたぐ移動が予想されるなら、あらかじめ、つまり夜十一時頃から配車アプリを起動して状況を確認しておくとよい。需要が集中し始める時点より少し早めに動けば、待ち時間を大きく減らせる。
- 配車がなかなか成立しない場合は、立つ位置を変えてみるのも一つの方法だ。大通りよりも裏通りや、タクシーが実際に走行するルート付近、信号待ちが発生する地点近くで待つと、配車が成立しやすくなることが多い。
- 行き先がやや分かりにくい、あるいは遠い場合は、アプリ配車時に行き先を明確に入力しておくとよい。行き先がシステムに正確に登録されていれば、運転手が事前に方向を判断して承諾しやすくなる。
- 深夜割増はアプリを使っても道端で拾っても同じように適用されるという点を知っておけば、料金面で戸惑うことが減る。アプリだから高いのではなく、その時間帯自体が割増区間に入っているだけだと理解しておけばよい。
- 配車が繰り返し失敗する場合は、近くのカフェやコンビニで少し時間を置いて待ち、改めて試すのも悪くない。交代時間帯の空白を過ぎれば、午前一時以降はむしろ配車がスムーズになることが多いからだ。
結局、あの夜その通りに立っていた人々のうち、何人かはまだ手を挙げ続けており、何人かはすでにスマートフォンの画面の中で小さな車のアイコンが近づいてくるのを見ていた。同じ場所、同じ時間でありながら、まったく異なる結果へと向かっていたのである。日付前後の道路は誰の目にも平等に空いて見えるが、その空白の理由を知る者だけが、少しだけ早くドアを開けることができる。