TRAVEL NOTES / NO. 036
2026年9月21日月曜日
韓国旅行 · 4分で読める111
発券機の前で立ち尽くした20分、KTXは予約なしの旅人を待たない
ソウル駅の窓口で目にした満席案内が教えてくれる、韓国高速鉄道の本当のルール
文 Find to Send編集部

ソウル駅、午後4時。釜山行きKTXの発車案内板の下、列が短くてほっとした。ところが窓口の職員が画面を二度タップし、首を振る。「今日は立席も出てしまいました」。旅行者は一瞬、意味が飲み込めない。列車はあそこのホームに停まっているのに、切符がないとはどういうことか。列車はバスのようにその場で乗るものだと思い込んでいた人ほど、この戸惑いは大きい。
こうした場面は特に金曜の夕方、連休直前、夏休みシーズンの週末に頻発する。窓口の前にはキャリーケースを引いた人が次々と並び、誰もが片手でスマホの列車アプリを更新している。アナウンスは淡々と次の列車の定刻出発を告げ、切符を取れなかった人々はそれを聞きながら待合ホールの椅子に座り込む。大理石の床にぶつかるキャリーの車輪の音、時計をちらちら確認する手首、そして発券画面に浮かぶ赤い「満席」の文字――この三つが重なる瞬間こそ、この問題の実態である。
問題は単に切符がないという事実そのものではなく、それに気づくのが遅すぎる点にある。飛行機なら乗り遅れても次の便や振替の余地があるが、地方の中小都市へ向かうKTXが一日数本しかない路線であれば、次の列車は二、三時間後、悪ければその日はもう座席がないこともある。宿のチェックイン時間、夕方の約束、翌日の予定までドミノ倒しのようにずれ込み始める。しかも外国人旅行者にとって韓国語のアナウンスをその場で理解するのは難しく、代替手段(高速バスや在来線)をその場で調べるのも容易ではない。計画通りに進まない旅のストレスは、たいていこうした一見些細な最初のつまずきから始まる。
なぜこうなるのか。KTXをはじめとする韓国の高速鉄道は、飛行機同様、全席指定制で運行されている。立席券さえも通路スペースに限られた人数しか認められない座席外の乗車券であり、無制限に立たせて乗せられる仕組みではない。つまり一本の列車が運べる乗客数は物理的に固定されており、その座席はオンライン予約システムを通じてリアルタイムに消化されていく。韓国人利用者の多くはスマホアプリで乗車の数日、時には数週間前から座席を確保しておく習慣がある。旧正月やチュソクの連休期間には、予約開始と同時に人気列車の座席が数分で売り切れることも珍しくない。結局、駅の窓口や自動券売機の前で「今から買おう」と思う時点では、その座席という限られた資源の配分はすでにほぼ終わっている場合が多い。飛行機のチケットのように事前購入が当然とされる感覚と違い、列車は「その場で乗るもの」という認識が根強く残っているため、この仕組みを知らずに来る旅行者ほどこの問題に直面しやすい。
では実際どう備えればよいか。第一に、旅程が確定した瞬間――理想は出発の数日前、繁忙期であれば予約開始日当日――にコレイルトーク(Korail Talk)アプリまたはコレイルのウェブサイトで座席を予約しておく。外国人でもパスポート情報とメールアドレスだけで登録・決済ができ、英語表示にも対応している。第二に、希望の時間帯が満席だった場合、前後30分から1時間の便もあわせて検索するとよい。特定の人気時間帯だけに集中し、その前後の便には余裕があることが多い。第三に、予約サイトで座席なしと表示されても、キャンセル分がリアルタイムで放出されることがあるため、出発数時間前からアプリを再確認する方法も有効である。第四に、現地で予約が締め切られていた場合は、駅の職員に立席の有無と翌日以降の座席状況を尋ねると同時に、高速バスターミナルの同区間の時刻表もバックアップとして確認しておく。韓国は高速バス網も充実しているため、列車が満席でも代替手段が見つかる余地がある。第五に、真の繁忙期(旧正月・チュソクの連休、夏休みの金曜午後から日曜)には、往復の乗車券を旅程全体とあわせて早めに確定させておくのが最も安心である。
もう一度、ソウル駅の待合ホールに立っていると想像してみてほしい。今度は窓口に向かう代わりに、数日前にスマホの座席図を見ながら席を選んでおいた旅行者だ。案内板に浮かぶ赤い「満席」の文字は、もう彼の問題ではない。結局、この小さな習慣ひとつが、旅が予定通り進むかどうかを分ける最初の分かれ道になる。